欧州のスタンスに変化
強いドルは米国の国益といった念仏は未だ継続しており、米国からの発言にはドルの価値下落を認識しているようなものは殆ど見られない。
しかし現実には2005年末よりドルは一貫して売り込まれ続けており、発言と実体の乖離が激しくなっている。
9月には米国株式の下落や住宅ローン金利について危機感を持ったFOMCにより0.5%という最近にはない利下げを行ない米株式市場は最高値を更新、金融機関のサブプライムローンに絡んでの損失も予想されたよりも今のところ少ないとの認識が先に立ったことで市場は落ち着きを見せ始めているものの、株価の上昇が却って米ドルを売り込む助けとなっている。
ユーロドルは1.42台後半までの上げと最高値を更新、ポンドドルも2.04台を回復、豪ドルは前回の高値を上抜いての0.89台を示現するなど市場の米国への楽観的な見方とは裏腹に為替市場では米ドルからの逃避と言えるようなドルを一方的に売り込む動きが続いている。
しかし今週に入り、欧州圏内からドル安ユーロ高に対する懸念を口にする政府関係者が多くなりつつあり、ユーロ高が輸出を中心とする実体経済への影響を無視できなくなりつつあるようだ。
ユーロドルは本年4月に1.36台まで上げた際には2004年の高値である1.3670を意識した発言が欧州域内政治家より相次ぎ、これ以上のユーロ高を容認できないと言った要旨が多かった。
しかし中央銀行として為替相場は市場で決定されるべきものであり、口先介入を含めて具体的な行動に疑問を持っていたことから4月の段階でユーロ高懸念はあったものの、結局は発言もトーンダウンしており、またその後の自立的な調整局面を迎えたことで欧州からのユーロ高懸念は影を潜めていた。
もっともフランスのみは常にユーロ高が国内経済の打撃を与えるとの認識と発言を続けており、市場に介入しないことを基本とするドイツと一線を画していた。
但し、ここに来てサブプライムローンによる信用不安が欧州勢を傷めていることもあり、景気浮揚策としてのユーロ高懸念が欧州圏政治家から再出し始めている。
また、通貨価値は市場が決定すると言うスタンスを動かしていないドイツについてもここに来てユーロ高になんらかの手を打つべきとの認識が広まりつつあることが漏れ聞こえてくる。
実際には10/18にワシントンにて予定されているG7においてユーロ高懸念を討議する方向で欧州圏内は動き始めているようで、来週月曜日には欧州圏財務相、中央銀行総裁会議が開かれここでユーロのレベルについて討議が開始される予定となっている。
今年4月時点でもユーロ高を懸念する声が相当高まっており、市場では介入を行なうのではないかとも思惑もあったが、結局ユーロ高懸念をG7あるいはECBからの正式な声明として取り上げることは出来なかった。
今回も政治家からの声が多く今のところユーロ高懸念をG7で正式に討議することは難しい可能性も高いが、欧州圏内の金融機関の信用収縮という不安材料もあることもあり、今回は以前と比べて実際にユーロ高懸念が欧州域内で共有、声明として盛り込むことが出来る可能性が出始めている。
もっともG7となるとまた別の話ではあるが、米国や日本からの反対も出にくい状況と思われ、欧州圏財務相会談での決定がG7にそのまま反映する可能性はかなり高いのではないか。
もしここでユーロ高懸念を声明として盛り込むことが出来れば介入は難しいとしてもユーロロングのポジションが溜まっているだけに素直にユーロ下落につながる可能性は高いように見える。
今週末も含めてG7まではユーロ買いには十分注意するべきだろう。